死の風景

              
     

     
    ビジネス街を詰め込んでいた
    巨大なビルディングの影が
    呼吸をしなくなった町を
    なめつくしている
    ベルトコンベアとなって
    車を運んでいた高速道路は
    排気ガスでただれた路面をさらして
    横たわっている

    感情という感情は
    すべて消え失せ
    叫ぶ心もなければ
    共鳴する心もない
    探索機によって
    アイドルの素顔を
    あばかれた月が
    投げやりな光を
    放っているだけ

    コンビナートのタンク群は
    石油ぶくれの鉛色の腹を
    浮かび上がらせ
    栄養源を断ち切られた
    パイプラインは
    一部で腐食し始めている

    生という生は
    すべて消え失せ
    黒い空間の中に
    生活の余韻は
    どこにもない
    疲れ果てた時間が
    白骨化した町を
    通り過ぎて行くだけ