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第29号ニュースレター

私の感じたここちよい景観 吉岡由味

02手作り景観賞は、こんな審査結果でした

編集後記


私の感じたここちよい景観 吉岡由味

「街と緑と空の絵」

臨時職員として県庁の12階に3年間いました。毎日、コピー室まで廊下を行ったり来たり。時には・・・、と言いたいところですが、いつも走っていた私がある日その廊下を珍しく歩いていました。ゆっくり、ゆっくり。ふと見ると、目の前に1枚の絵が。窓越しに見える、少しずつはっきりしていく大殿方面から向こうの街と緑と空の風景。すっかり心を奪われてしまいました。何がそんなに私の心をひきつけて離さないのかとても不思議でした。

以来、どきどき?廊下を歩く度にその絵を眺めるようになりました。特に、晴れた日の午後?明るく染まるその絵は、なんとも幸せな気分にしてくれました。

 先日、久し振りにその廊下をコピー室に向かって歩いてみました。ついでにその日は、窓のところまで。窓から直接観るその絵は、私にとってはなんでもない普通の絵でした。どうやらコピー室までの動いて行く距離と12階という高さが、私の心をひきつける絵(景観)を生みだしてくれていたようです。

それは、きっと街と緑と空がバランスよく仲良く共存しているように見える、そんな距離と高さなのだ思います。久し振りの再会が、3年間の不思議に答えをくれました。


02手作り景観賞は、こんな審査結果でした

■ 会場及び開催日

◇ 山口会場/大殿公民館 10/5(土)、6日(日)
◇ 小野田会場/小野田市立図書館 1012()13()
◇ 萩会場/田町商店街イベントホール 19/19(土)
◇ 徳山会場/徳山市総合スポーツセンター 10/19(土)、20日(日)

◇ 下関会場/シモール・1Fコンコース 10/27(日)
【長門会場は、停電のため開催できませんでした。

◆現地調査
11/4()

■主催  

 ◇特定非営利活動法人まちのよそおいネットワーク(略称:NPO法人まちよそ)

■募集部門   

 ◇「たてもの」部門

■応募状況 
 ◇7月15日から9月20日まで02手作り景観賞の審査対象施設を公募しましたところ、「たてもの」部門28点の応募がありました。

■審査方法等 
◇審査に同意された一般市民の方々に、応募作品のパネルを見てもらい3点選んでいただきました。併せて、作品に対する感想も記入していただきました。

◇739名の市民の方々による審査の結果、上位2点を「優秀賞」としました。

◇また、1995年度新設した世話人が現地を調査して推薦する施設に贈る「世話人賞」として、2点選定しました。

■審査結果の概要   
◇ 今年度の審査状況の特徴としては、次のようなことが挙げられます。

5つの会場で審査数はかなりばらつきがありました。1日の参加者数の最も多かったのは山口で、154人の方に投票していただきました。総数で最も多かったのは、山口の2日間で248人でした。年代別では今回も40代の方が最も多く24%で、続いて50代18%でした。性別ですと、今回も女性の方が多く53%でした。

◇ このような市民の方々による審査の結果、優秀賞2施設、世話人賞2施設を表彰させていただきました。

 それでは、入賞施設をエントリー順に紹介させていただきます。

◇まず、「やない西蔵」です。比較的女性に好まれ、年齢的には特に50歳以上の方々に好まれるといった傾向がありました。投票者の感想を見ますと、町の景観にマッチしている、風情があり懐かしい風景、商家のたたずまいが何か気持ちに安心感を与えてくれるなどといったものでした。向かい合う東蔵にできるだけ近い形に復元再生された建物であり、漆喰壁や土間にタタキを施すなどして、印象的な景観の復元的再生の好例といえ、周辺に住む人にとってもこの景観は記憶に残るものとなっていると思われるといったことが評価されたものと思われます。

◯施設名称 やない西蔵
◯竣工年 2001年
◯所在地 柳井市大字柳井3700-8
◯施主 柳井市
◯設計者 株式会社巽設計コンサルタント
◯施工者 株式会社福屋建設

 次が「下関市立しものせき水族館「海響館」」です。投票者の属性としては、比較的若年層に人気があり、やや男性の方に好まれているといった傾向がありました。前出の「やない西蔵」とは異なる傾向が見られました。投票者の感想を見ますと、屋根の形状や全体的な雰囲気が海の風景に合っている、下関の新しいランドマークとして風景になじんでいる、唐戸周辺の雰囲気が良くなったなどといった評価でした。唐戸地区に新しい景観を生み出したことや、芝生の緑と局面の大屋根によって、建物にダイナミックな形態が与えられ、生命力ある新たな景観が周辺へ波及する可能性を示唆していることが評価されたものと思われます。

◯施設名称 下関市立しものせき水族館「海響館」
◯竣工年 2000年
◯所在地 下関市あるかぽーと6−1
◯施主 下関市
◯設計者 株式会社日本設計九州支社
◯施工者 五洋建設・福永建設・寿工務店共同企業体ほか

◇続いて「世話人賞」に輝いた2つの施設についてご紹介します。

 まず最初は、「下関市地方卸売市場唐戸市場」です。投票者の感想を見ますと、屋根スラブのダイナミックスさが下関の飛躍を期待させるといったことや、芝生広場がとても気持ちよく、広場からの眺めもすばらしいといったこと、市場の機能と集客の機能が調和しているなどといった評価でした。外壁のレンガタイルは景観の記憶を継承することに成功し、屋上の芝生広場は海峡の守神である亀山八幡宮の景観に配慮するとともに、海とのつながりを求めた開放性のある空間を提供しており、大きなボリュームを持ちながら建物全体を分節し小さなスケール感で構成しているしているのではないかということで、世話人賞とさせていただきました。

◯施設名称 下関市地方卸売市場唐戸市場
◯竣工年 2001年
◯所在地 下関市唐戸町
◯施主 下関市
◯設計者 池原義郎・建築設計事務所
◯施工者 戸田建設・永山建設・野口工務店共同企業体、日産建設・友田組・長野工務店共同企業体

 次は、「きららネットハウス」です。投票者の感想を見ますと、緑の中に溶け込むよう建築されている、木の温もりが感じられる、見事に再生されているなどといった評価でした。平地を求めた造成をあえて避け木造の特性を生かして山の中腹に生き物の巣のような建物を出現させており、この建物を支えている柱脚は木造建築の軽やかさが表現され、ゆるい屋根勾配とあいまって周辺の景観に溶け込んでいるのではないかということで、世話人賞とさせていただきました。

◯施設名称 きららネットハウス
◯竣工年 2001年
◯所在地 宇部市大字善和字西中屋敷
◯施主 西村博明
◯設計者 株式会社グリーンデザインオフィス
◯施工者 株式会社内平工業所

◇次に、100名以上の審査員の投票があった施設と世話人賞を決める際、話題に挙がった施設について、その施設名称のみを列記させていただきます。

 「吉賀さんの家」、「冠山総合公園管理施設」、「S−HOUSE」、「萩しーまーと」、「福田さんの家」、「黒の家」、「ラ・フランチェスカ」、「ソルポニエンテ」、「山口宇部空港ふれあい広場内公衆トイレ」です。それぞれなかなかの力作でした。

交流会&表彰式

◇設計者等と市民の交流の場として、11月16日(土)、山口芸術短期大学・視聴覚室において開催しました。例年のごとく全くの手弁当で県外からも参加していただきました。写真では図り知ることのできない設計上の思い入れや設計者の情熱を感じることができました。会場からの質問に答えていただくなど、使う者とつくる者との接点になったのではないかと思っています。毎回有用な意見交換が行われ、貴重な場だと思っているのですが、参加者が少ないのが残念でしかたがありません。ご出席してくださった皆さん、本当にありがとうございました。

なお、山口市での審査会において、次のご意見、ご批判をいただきましたので、掲載させていただきます。

○施設の目的も種類もバラエティに富んでいる。景観だけで建物を評価できるのか。金をかければいいものだできるはず。同じ用途の公共施設とか住宅とか、ある程度ジャンルを絞らないと審査できない。また、写真の撮り方もある程度統一すべきではないか。現状では審査不能。

編集後記

 大変遅くなりましたが、昨年実施しました02手作り景観賞の結果をご報告します。私の軽率さで、一部の受賞者に大変迷惑をかけてしましました。主催者として不注意でした。この経験を教訓として十分留意していきたいと考えていますのでご容赦をお願いします。

さて、第29号では吉岡さんに無理をお願いして「私の感じたここちよい景観」を書いていただきました。偶然にも私も心地よいなと感じていた風景でした。山口市で生活することの喜びを感じられる場所でもあります。写真では分かりにくいと思われる方はぜひ県庁12階からの眺めをご堪能ください。(A・K)