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ニュースレター

花 まちのよそおい  第27号
編集・発行 特定非営利活動法人まちのよそおい・ネットワーク(略称:NPO法人まちよそ)
2000年9月25日 連絡先 宇部市大字川上420−9(株)グリーンデザインオフィス内(郵便番号755−0093)
携帯:090-1460-3091 FAX:0836-32-82025 岩田(理事・事務局長)HP:http://www.sujet.co.jp/matiyoso  



私の感じたここちよい景観

  

「願い」  やまね ゆき

田んぼを渡る風が
爽やかな薫りを運ぶ
 
新緑の季節の始まりだ

佐波川の上流に車を走らせた
空も水も木々の葉も
まぶしいくらいに輝いている

川土手の車道沿いに
お地蔵さまが佇んでいた

よほど気をつけてないと
見過ごしてしまう車道(くるまみち)
         とばすモンね
台座の4文字に込められた願い

ここからは脇見をしないで
安全運転で帰った

「まちよそ行事この1年」       NPO法人まちよそ事務局長  岩田真次
● 河川流域を舞台とした様々な活動
  昨年度から受託しております山口県河川課の川を育む緩やかな連携づくりは、県東部の錦川から始まりました。現在は、上流から下流までの流域2市7町村の行政と流域活動団体・活動者との話合いおよび設立準備会を終えて、「錦川流域ネット」という地域のNPO的な組織を構築すべく準備中です。そして、錦川流域ネット参加予定の地元の皆さんと一緒に先進地視察として、本年3月岡山県旭川を訪問し、旭川流域ネットの代表世話人の方々から全国的に有名な「源流の碑」の行事の経緯、会運営などをお聞きしました。
  また、錦川を舞台にした環境学習は、光中学校のネーチャークラブの教諭、生徒30名の参加により昨年7月川遊び、カヌーなど2度の体験学習を支援しました。現在、川を舞台にした環境学習指導者の養成を目的とした川の達人養成塾、地域の小中学生を対象とした川のわんぱく探検隊などを開催すべく準備中です。既に、錦川上流の錦町は、寺本町長以下行政と住民が一体となって川を中心としたまちづくりに取組んでおられ、昨年6月に実施された「錦川スーパーフォーラム」、「府の谷・ホタルまつり」にはまちよそ有志が参加して町長以下地元の皆さんと懇談し、まちづくり・環境学習などについて意見交換をしております。この錦町を中心に、錦川の流域連携が順調に推移することを願いながら支援活動を続けております。
  河川環境管理財団の助成事業・研究テーマ「河川流域の自然と、まち並み形成の歴史と文化を学ぶ」は、山と海のネットワークを河川により構築し、自然を生活の指標として、生態系のルールを守って暮らしていた先人の歴史と文化を学ぶことによって、これからの持続可能な地域社会は、山の幸、海の幸を繋ぐ河川流域の健全な形成から生まれることを住民とともに再認識しようというものです。研究対象の河川としては、いずれも中流域に古代の技術集団・日置族が居住していた県内の二つの河川を選びました。
  昨年8月に実施しました佐波川を舞台にした「重源に学ぶ川との交流」では、東大寺俊乗坊重源の偉業にあやかって徳地町の間伐材の丸太を切出し、佐波川を流して下流の防府市の河川敷で丸太小屋を組立てました。参加者は佐波川流域と山口市の小中学生40名で、間伐材の切出しは、国立徳地自然少年の家裏山のヒノキを山口農林事務所技術員の指導で行いました。この体験学習は、山口県山口農林事務所とNPO法人まちのよそおいネットワーク協働の行事とし、これを企画・運営を委託された山口新聞社主催、国土交通省後援の「河川文化ディスカバーフォーラム」のプレイベントに位置付けて開催しました。そして、会場である徳地町の地元の皆さんには地元の特産品のバザーをお願いしました。この体験学習の成果は、このフォーラムの中で子供達の中から代表3名が発表しました。
  掛淵川では、地元の神田小学校、日置小学校のご協力のもとに3回の事前検討会を行って、昨年11月メンバーの大崎玲子さんが企画した「掛淵川探検ツアー」と題する体験学習を実施しました。そして、地元の小学生30名を対象に掛淵川の下流から源流まで、地元の物知り博士に、河川流域の自然と生活の歴史などを説明していただき、掛淵川流域の生物のことなら何でも知っている日置中学校3年生の松尾洋君にも日置町の自然を語ってもらいました。尚、この行事に関するすべての企画、運営、実施には地元神田小学校PTA会長・石本治さんに全面的なご協力をいただきました。この行事を記録した環境ふれあい教室副読本「掛淵川の生物と歴史」は、「掛淵川探検ツアー」と関連行事で説明いただいた地元の皆さんの取材記事をもとに、この体験学習にサポーターとして参加した若い仲間が手づくりでまとめた成果です。
 写真1:子供達に掛淵川の歴史を語る地元の物知り博士
このほか、川を育む全国的な動きとして、昨夏のきらら博を契機に開催された「川づくり全国大会」(7月宇部)、「3県交流会」(9月福島・新潟・山口)などに参加し、多忙を極めました。これらの詳細内容はまちよそのホームページをご覧下さい。
● 自然の物差しは10n乗と30度そしてゆらぎ1/f
 まちよその理念は「景観から住まい・まちづくりを考え、行動しよう」です。
この景観や自然を語るとき、混沌、ゆらぎ、フラクタルなどの表現が度々でてきます。この何れもが理解するのに大変苦労します。それほど的確かつ定量的に自然や景観を表現することは難しいのです。従って、五感で捉えるなどという分かったような分からない解釈で曖昧に妥協しております。
それでも技術屋の端くれとして、何とか自然をそして心地よい景観を定量的に表現することができないものかと無謀な挑戦を重ねて、いろいろ試行錯誤の末、やっとある答えに辿り着きました。建築デザインや景観の評価などで使われている10n乗と30度が自然を表す物差しではないかということです。10n乗は貨幣単位の基準であり、土砂の粒度分布、土の圧密沈下量、樹木の枝葉、体内の血管など数え上げればきりがないほど自然現象は10n乗で構成された世界です。つまり、次元が変わる毎に相似形をなす、いわゆるフラクタルの世界です。この代表的なものに河川流域があります。河川の本流には基本的な形態として10本の支流があり、この支流には100本の枝流があります。さらにこの枝流には1000本の小川があり、そして小川には10000本の側溝が繋がっており、最後は10万本、100万本の家の庭や屋根の雨水さらに私達一人一人が流す1000万本の生活廃水まで繋がります。つまり河川の源流は山間部の湧き水で始まる自然の源流とともに、私達一人一人が源流であるということになります。
持続可能な循環型地域社会を形成するためには、地域の生態系・景観をいかにして守るかという私達一人一人の意思と行動が不可欠である理由がここにあり、この行動を持続するためには川を育む住民、企業、行政、大学関係者のフラットで緩やかな連携が必要になります。得意分野を活かした情報の伝達と的確な実行プログラムができれば、協働による実践活動で、持続可能な循環型地域社会が形成されていきます。
次に30度は自然現象とどのような関わりを持つのでしょうか。砂の安息角、木材の強度が急落する含水率、崖と感じる角度、一度に入射する視野の範囲、冬季の南面の許容日射角度、古代の人々が生活の基準軸と考えていた冬至の日の出などいずれも30度(%)です。10n乗がフラクタルを表すとすれば、30度(%)は自然と人の生命領域の境界を表しているのではないではないでしょうか。
ところで、受託事業の中にホタル調査がありますが、ホタルの文献(ホタルの研究/南喜一郎/サイエンティスト社)を調べていると奇妙なことに気が付きました。ホタルには10n乗と30のルール(3×10n乗)があるようです。つまり、ホタルの幼虫が好んで生息する川の条件は、水深30cm、流速30cm/sec、川底は泥土30%以下(砂・砂利70%以上)です。水温が30度を超えますと生物は棲めなくなります。ところで、ホタルの幼虫は産卵後平均30日目におよそ30secかかって孵化し、すぐ水中生活に入り、大きさ3〜30mmのカワニナを食べて成長し、翌春4月一斉に上陸します。上陸した幼虫は水際を3cmほど離れたところで3分間休止し、それからめざましく発光しながら登って行きます。適地を見つけた幼虫は地中3cmほどの深さで蛹になり、3回脱皮して、3日間で羽化し、上陸してから3カ月目に成虫となります。成虫したホタルの明滅は平均3秒、一斉飛翔明滅は一夜に3回で30分続き、飛翔速度は30cm/sec、高さは3m以内、3時間以上の交尾を終えた大きさ30mm以下の雌は3日後に、川岸の水面から30cm程度離れた苔に300個以上の産卵を始めます。そして成虫となって30日以内でその一生を終えます。不思議ですね。
それでは、自然を表しているフラクタルは、景観を心地よいと感じる感性とどのような関わりがあるのでしょうか。それが10n乗と30度(%)を組み合わせた表現ではないかと感じております自然現象のゆらぎ1/fです。紙面の関係でこの話は次回に譲ります。

「住環境ネットの活動を終えて」

  
東 孝次
  高齢者のための住宅改修が少しでもうまくいくよう、関連職種の交流を進めようと、山口県作業療法士会の活動を発展解消するために2000年10月発足した「やまぐち住環境・福祉機器支援ネットワーク(略称:住環境ネット)」は、2001年度の活動として次の行事に取り組みました。
 NPO法人まちよそとしては、社会貢献活動の一環として、山口県建築士会・山口県地域貢献活動センターの支援を受け、事務局として活動しました。
●施工業者向け講習会  高齢者にとって納得のいく住宅改修となるためには、施工業者の皆さんが高齢者の特性を理解してもらうことが大切です。このため、2001年12月2日、山口県作業療法士会の河本会長に、「住宅改修に携わる上で知っておきたい要介護者のこころとからだ〜住宅改修と福祉用具の適合の実際〜」と題して、お説明いただきました。山口県住宅建設協会のご協力も得ることができました。
●医療・保健・福祉関係者のための製図教室  多業種がスムーズに連携するためには、1つでも多くの共通言語を持つことが大切です。その1つとして図面があります。そこで、2001年12月8日、AKi建築設計事務所の沼田さんを講師に迎え、「医療・保健・福祉関係者のための製図教室」を開催しました。
●交流会「住環境・福祉機器研究会」  住宅改修に関連する職種は様々あります。そのため、いろんな機会を使って交流することが大切です。2002年3月17日、「交流会『住環境福祉機器研究会』」を開催しました。山口県建築士会女性建築士委員会シニアすまいる研究会の4人の女性建築士の方々に住宅改修の実例を報告していただいた後、参加者がグループに別れて、事例の検証を行いました。

編集後記
長らくお待たせしました。1年と8ヶ月ぶりの発行です。  私たちの活動も11年目を迎えています。私たちの原点でもある景観についてNPO法人まちよそとしての考え方をまとめる時期にきていると感じています。過去の“手作り景観賞”の入賞作品を整理して、一定の方向を探ろうではないかと話し合っています。ご興味のある方はぜひご参加ください。  今後は、年3回程度は発行したいと考えていますので、引き続き、ご支援、ご協力を賜りますよう、よろしくお願いします。(K・A)