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ニュースレター

第18号

はじめに拝啓 新しい年をいかがお迎えでしょうか。 平素は、私たちの活動にご支援、ご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。さて、1997年度の最後のニュースレター「まちのよそおい」(第18号)をお届けします。今回のニュースレターは、国際派世話人の廣澤洋子さんには、オーストラリ アのここちよい景観を寄せていただきました。また歴史派世話人の岩田真次さんには、本年度の最重点取組であった「景観セミナーin大寧寺」の様子をレポートしていただきました。さらに農村派世話人の斎藤昌彦さんには、1998年度実施予定の 「茅葺きワークショップ」を予告していただきました。ご一読をお願いします。ご意見、ご感想がありましたら、ぜひ事務局や世話人までお寄せください。よろしくお願いします。なお、1998年度の活動は、"98手作り景観賞"を中心に、「茅葺きワークショップ」、「大寧寺ワークショップ」等を予定しています。具体的な内容は世話人で議論して決定することにしています。より一層のご指導、ご支援を腸わりますよう、よろしくお願いします。              敬具 1998年2月1日 各 位               まちのよそおい・ネットワーク                      代表世話人 福田東亜
私の感じたここちよい景観 海外編 廣澤洋子

この町は、ホエール・ウオッチングで最近知られるようになったフレーザー島の ハーヴェイ湾をはさんだ対岸にある。サトウキビやその他の農産物の集積地とし て発展してきた。2、3ブロックほどの目抜き通りは、築後100年位のレンガ造 りの建物群が修復保存され、明るい薄茶色が基調の商店街になっている。まぶし い真夏の日差しの下、クリスマスショッピングの人々がゆったりと歩いていた。 友人と昼食をとったのは、商店街から少しはずれた角にある,その名もオール ドバンクレストラン。  ・古い銀行をそのままに、レンガの赤紫がかった青色の柱、明るい薄茶の縁取り   の外観があざやかでしやれている。  ・高い天井からは当時の明かりが吊られ、表の柱と同じ青色の壁には、よくマッ   チした絵画が。  ・お昼のメニューは緑色の黒板にチョークで書かれてさりげなく壁に立てかけて   ある。  ・奥のドアの向こうのパティオにもいくつか丸テーブルの食卓が。  ・味も雰囲気も、友人との会話も申し分なかった。  外に出ると南側は見渡す限りのサトウキビ畑が広がっていた。人通りの少ない裏 通り、店の扉に、YES F0R PORTや N0 F0R P0RTの張り紙がある。尋ねると、 石炭積出港の建設計画について、住民の賛否が分かれているのだという。こんなの んぴりした町でも開発と環境のせめぎあいがあるのだ。   
文頭へ        「景観セミナーin大寧寺」を終えて大寧寺修景計画づくりの提起者である世話人の岩田真次さんに セミナーを終えての一文を寄せていただきました。当日の雰囲 気を少し味わっていただけたらと思います。 なお、詳細は、1997年度の活動報告書でお知らせします。

●11月30日(日)、延び延びになっていた「景観セミナーin大寧寺」がやってきました。 前日までとはうって変わって朝から天気良好でホットしていたところ、NHKのTV番組 から景観セミナーの案内が流れました。気分良くボディーの長い娘の車で山口大工学部へ 直行。感性デザイン工学科中園研究室の岩本助手、小峯さんと講演用のパソコン、プロジ ェクター、スクリーンを積み込んで会場の大寧寺へ急ぎました。車中の様子では、どうや らお二人は徹夜でCADデータを作成されたようです。本当にご苦労様でした。1時間少 々で大寧寺に到着すると、すでに世話人の何人かが待機中でした。予定の10時までには 山口、宇部、徳山など県下全域から世話人が全員集合。久しぶりのセミナーに福田教授は じめ山口芸短大の生徒さん、そして世話人の張り切りようがうかがえます。挨拶もそこそ こに、東さんの指示のもと本堂での会場準備に着手し、マイク、演台、座卓、座布団など 皆さんの手際のよさにあっという間に講演会場の設営が終了しました。 当初、座席は80席を 準備しましたが、空 席が出たら皆さんに 申し訳けないと内心 は心配しながら、朝 からの気分の良さに 少し強気になって百 席へ増席しました。 11時過ぎまでには マイクのテストなど 全ての準備を終えて 昼食に入りました。 13時から受付を開 始しましたところ、 開講時間の13時3 0分にはほぼ満席に なり、用意した当日 の配付資料130部 はすぐに品切れとな ってしまいました。 1週間前に福田研究 室で印刷、製本するときには、100部もあれば十分でしょうと誰かが言っていたのがウソの ようです。

●セミナーは予定通り13時30分に、東さんの司会者あいさつからスタートしました。最初 の山口県立美術館長の河野さんによる基調講演「大寧寺に想う」では、大内文化は西洋と東洋 の文化の集積であり、その文化の一翼を大寧寺が担っていたこと。そして禅学の総持寺直末寺 として開山以来多くの名僧を輩出し、北浦文化の中心をなし、西の高野ともいわれるように毛 利藩士の墓地が250基もある格式の高い、寂蓼感漂う古刹であること。また萩焼深川窯との 関わりや、明治に入って寺院は荒廃し、境内に県道が通るなど悲惨な時代があったが、昭和5 4年大寧寺境内は県の史跡に、本堂は県有形文化財に指定されて、境内全域の保存が確保され るようになったこと。さ らに、本堂のRC造化な どの動きに対して河野館 長自らこれを阻止された ことなど大寧寺の文化遺 産継承に対する思い入れ は北浦文化強いては山口 の地域文化を愛する気持 ちの表れであり、講演時 間を超過するほどの熱の こもったお話でした。  続いて、今回のセミナ ー火付け役としての責任 上、自ら修景計画を説明 する羽目になり、中国教 授はじめ研究室の皆さん、 宇部市役所佐々木さん、 柳川さんのご支援のもと に共同作成した修景計画 についてCADによる説 明を何とか終了して休憩 に入りました。  休憩時間には、世話人の瀬口さんとやや年季の入ったお仲間による中世バロック音楽のたて笛 演奏に暫し西洋ロマンの雰囲気を感じながら、お寺さんの世話によるお抹茶サービスで東洋の香 りを満喫しました。皆さんの心温まる演奏、本当にありがとうございました。  最後のテーマのパネルディスカッションは、司会者の福田教授、パネラーの河野館長、岩田住 職、中園教授、田原陶兵衛家元、山根所長による討論「歴史景観を現代にどう活かすか」でした。 ”大寧寺本堂へのアプローチと稲荷神社への参道との混在が境内の雰囲気を損なわせているが境 内の持っている景観の良さと史跡保存は守る”という共通認識のもとに積極的な意見交換がなさ れました。修景計画のうち、水と石の灯籠による伽藍の提案については、内容が少しモダンであ ったため、パネラーからもかなり抵抗がありましたが、全体的には河野館長が以前ご提案された 内容に近い現状の史跡保存をベースにした修景計画であり、地元の年輩者から冬至の日の出の考 え方や山門の復元に賛同意見が出され、住職から山門復元の基金を始めるとの意志持示がなされ るなど概ねこ賛同が得られたと思われます。女子学生からの創ることだけに偏った修景論争に対 する苦言が呈されると、これに刺激されて教授はじめ地元の方々から歴史景観に対する熱い思い が語られはじめ、会場は一体感溢れる家族的なムードのまま時間が超過して閉幕となりました。 会としては初めての実践活動への挑戦で、設計作業、講師の要請、資米作成など準備作業は正直 大変ではありましたが、地元の方々の多数の参加と提案に対するご好意に半年の作業の疲れは吹 っ飛んでしまう程の心地よい一日でした。
●景観セミナーの2日後、東さんと一緒に長門市、土木事務所、日置町など関係先へご挨拶に行 きましたところ、当日出席された皆さんから好意的なご感想をいただきました。  また、暮れも押し迫った12月27日、日置町、長門深川廃寺そして大寧寺を訪れて、5日遅 れではありましたがイメージ通りに出現する冬至の日の出を拝みながら、大寧寺修景計画の今後 の活動をどう継続するか、地元の方々とどのような連携をとってゆくかなどに思いを馳せ、改め て歴史景観の重みとワークショップの必要性を感じた次第です。  この1年間の会員皆さんのご協力を心から感謝いたします。      (文責:岩田)
文頭へ 茅葺きを体験してみませんか? 斉藤昌彦1998年度に取り組む予定にしている「茅葺きワークショップ」の概要に ついて、提案者である世話人の斎藤昌彦さんに提起していただきました。 詳細はこれからのミーティングで詰めていくことにしています。 多くの皆さんのご参加をお待ちしています。 山口市小鯖地区叶木という 場所を知っていますか。山口 市内に住んでおられる方でも この場所を知らない人が多い のではないでしょうか。30数 年、山口市に住んでいる私も 数年前まで行ったこともない 場所でした。  この叶木は、戸数8戸と小 さい集落であるが、民家・納 屋・神社等ほとんどすべての 屋根が茅葺きで集落全体とし て他に類を見ない景観をとど めている場所なのです。この 農村景観を象徴する河内神社 の茅葺き屋根の傷みがひどく なり、雨漏りが始まっている という話を聞きました。 河内神社は、叶木の人たちによりこれまで維持されてきました。 しかし、集落すべてが高齢者世帯であるため、茅の茸き替えも難 しくなっているというのです。  そこで「まちのよそおい」で茅葺きのお手伝いができないかと 考えています。ただ、河内神社は叶木の人たちが守っていかれる べきものです。単に茅葺き屋根を茸き替えるのではなく、叶木の 人たちとこの農村景観をどうして行くのかも一緒に考えていけた らと思います。そこでみなさんに提案です。一度、叶木の素敵な 風景を見に行きませんか。一緒に茅葺き作業で汗を流してみませ んか。そして、それぞれの心の原風景を思い出してみませんか。 みなさんのご協力をお願いします。(文責:斎藤)
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編集後記

 新しい年をいかがお迎えでしょうか。 1998年度は、私たちの活動も7年目を迎えます。人的にも経済的にも限界にきていると 感じてます。”98手作り景観賞”は実施することにしていますが、1999年度以降は、 NPOの山口県におけるセンター的な活動へと転換していきたいと考えています。詳しくは、 世話人で検討の上、活動報告,でお知らせしたいと思っています。(文責:東)