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ニュースレター 第14号

私の感じたここちよい景観…無題(山根由紀)
“96手作り景観賞”審査会等のご案内
美しい村、イフレムを守る(廣澤洋子)
私たちが感じる“ここちよい景観”に寄せて(入江直子)

私の感じたここちよい景観…無題    山根由紀

 車一台がようやく通るような幅の踏切。
 それでもきちんと標識は立っている。
 通勤途上の国道から見下ろす場所に、ここは、ある。
 時間に追われる生活の中で、通る度にふっと歩いてみたい衝動に駆られる。

 遠い昔、あれは夏休みが終わる頃だったろうか。
 麦わら帽子、虫取り網、ツクツクボーシの声。
 強い西日を浴びながら、一生懸命歩いていたっけ…。
 あれはどこの踏切だったのだろう。
 甦るのは、顎を伝う汗の感触と夏の田んぼの甘いむせ返るようなにおいだけ。
“96手作り景観賞”審査会等のご案内
次のとおり審査会及び現地審査会を開催させていただきます。ご多忙のところ恐れ入りますが、ご参加を賜わりますよう、よろしくお願いします。応募作品が皆様の審査をお待ちしています。

○ 審査会
 次の8つの会場で行っています。どの会場でも結構ですので、ご都合のよい会場、 ご都合の良い時間にお越しください。
なお、今年度も“まちのよそおい”に関心のある方であればどなたでも審査できる ようになっていますので、多くの方々に声を掛ていただき、審査会場へお越しくださ いますようお願いします。

開催地 会場 開催日時
岩国 シンフォニア岩国・企画展示ホール 9月20日(金) 〜 22日(日) 10:00〜16:00
長門 長門コミュニティタウン「ウェーブ」 9月22日(日) 10:00 〜 18:00 
徳山 ピピ510・ロビーホール 9月28日(土) 10:30 〜 16:30
下関 シーモール・泉の広場(2F) 9月29日(日) 10:00 〜 19:00
山口 県政資料館・イベントホール  10月4日(金) 、5日(土) 10:00〜16:00
田町イベントホール  10月6日(日) 10:30 〜 16:30
小野田 小野田市立図書館 10月6日(日) 10:30 〜 16:30
山口 山口県文化スポーツセンター 10月19日(土) 、20日(日) 10:30〜16:30

(注1)岩国会場は、「デザインミーティング’96」の一環として行います。
(注2)終了時刻は会場により変更されることもありますので、ご注意ください。
 審査された方の中から抽選で50名様にオリジナルテレホンカード(50度1枚)を差し上げます。(抽選の結果は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。)
 奮ってご審査ください。審査は、展示されたパネル等から心地よいと感じられる作品を3点選んで投票してください。各会場の投票結果を集計して、上位から数点を「優秀賞」とします。

○ 現地調査
 「世話人賞」の審査を兼ねて、応募作品の現地調査を行います。どなたでも参加できます。多くの方のご参加をお待ちしています。

実施日 県西部 10月12日(土) (責任者:沼田)
県東部 10月13日(日) (責任者:山崎)
集合会場 山口芸術短期大学
出発時刻 9:00 (時間厳守をお願いします)

※「96手作り景観賞・交流会&表彰式」を、11月3日(日)13時から、ニューメディアプラザ山口で開 催します。こちらの方へも、ぜひご参加ください。

美しい村、イフレムを守る    廣澤洋子
 6月13日〜23日のアメリカ旅行は、私にとって10回目の訪米でした。今回の主な目的はアメリカの青年と結ばれた姪の結婚式に参列することでしたが、その後はアメリカ人の友人に久しぶりに会いに行く予定でした。もう一つ旅行の意味あいが今までとは違っていたのは、“まちのよそおい・ネットワーク”に参加するようになって以来、町並みや家の様子が気になるようになり、その視点から訪ねる町を見てみよう・・・という期待と好奇心を抱いていたこと。また行く前に、「帰ったらアメリカ報告をしてもらいましょう。」と言われたのが結構プレッシャーでもありました。
 訪れたのは、結婚式のあったウイスコンシン州のマディソン(大学都市)、同じ州のイフレム(避暑地)、そしてバージニア州のノーフォークです。それぞれに特徴のあるところですが、今回は特に5年ぶり2回目となったイフレムについて書くことにします。
 シカゴ、ミルウオーキーの人々に格好の行楽地として140年以上前から愛されてきた美しい村、イフレム。それは、まるで海のように大きなミシガン湖の南西の付け根から、楔のように突き出したドーア半島に点在するリゾート地の一つです。冬場の人口は200人、シーズンになるとそれが2万人にもふくれあがります。私の30年来の友人ジョーンは建築家だった夫のウオルトと共に8年前に、ここでB&B(ベッド・アンド・ブレックファースト=日本のペンション)を始めました。フレンチ・カントリー・イン(フランスの田舎の旅館)と言う、100年前にシカゴの実業家の別荘として建てられた、白い可愛い建物です。部屋は7つと別棟のロッジが1つ、収容人数は14人の小規模なものですが、彼らのペンションの魅力はウオルトの心のこもった手作りの朝食( B&Bでは朝食のみ)と、庭仕事の大好きなジョーンの丹精込めた花々。宿泊客の七割は常連です。
石造り暖炉の前の大きなテーブルで、はじめて会う人も家族のように、みんなそろって朝御飯を食べます。話上手なウオルトからジュースやパンの作り方を聞き、お互いに前日行ったところの話をしながらその日の予定を考えるのです。娘と私の泊まった時には日本食が話題となり、持参していた梅干しやインスタント味噌汁まで試してもらって、大いに盛り上がりました。
 ウオルトはイフレムの歴史的建築建造物保存委員会の委員長をしています。村から承認されたこのボランティアの委員会は専門家を含む5人からなっています。歴史を持つイフレムの通りや建物がその独特の落ち着いた雰囲気を失わないように、計画し、話し合い、活動しています。
数年前に新しい住人が村の表通りの小さな古い店舗を買ってピンクと紫色に塗り替えてしまったことをきっかけに、この委員会は発足したということでした。日本の開発に比べれば実に緩やかなものですが、新しいペンションや別荘などが増えてきています。
また古い建物がこわされたり変な改装がされることもあります。そんな情報をキャッチすると、委員会のメンバーは、施工主や建築業者と会って、村の方針を説明し、設計の手直しを求めたり、保存の方法を考えたりするということです。アメリカは、個人の主張をしない人は認めてもらえません。また他人の話に耳を傾けることは、それと同じように大切なことだと考えられています。特に公けのことに関しては、対等の立場で話し合いをして解決を見い出していくことを、いつも心がけているように見えます。日常生活の中にあたりまえのこととして、生きているようにも思われます。
 委員長としてのウオルトは、自分のキャリアと持ち前の人あたりのよさを生かして、様々な人と気軽に話し、友人が多いのです。(内省的で人づきあいをあまり好まないジョーンとよいとりあわせです。)2人に連れられて、イフレムにアトリエ兼住居を持つ画家夫婦や、前世は自分は日本人だったと信じている、大の日本びいきの女性を訪ねました。いずれも、古い建物を昔ながらのたたずまいを残しながら、自分たちの好みで暮しよいようにリフォームしています。着るものや食事は質素ですが、住居の居心地よさにはたいへんこだわっていると感じました。そして訪ねて来る人々にそれを見てもらって楽しみを分かち合うことがうれしいようです。
 新しい世界として、開拓、発展の先端を走ってきたアメリカですが、その一方で、自分たちのたどって来た道、文化の再認識をする大きな流れがあります。社会的には大きな問題を抱えならがも、過去を大切にし、今を積極的に生きようとする人々の姿勢に、勇気づけられた旅でもありました。
私たちが感じる“ここちよい景観”に寄せて    入江直子
 私たちか感じる“ここちよい景観’への思いば、何処から来るのだろう。
 今回集まった“私の感じたここちよい景概”を見ると、そこにあるのは、自分の原風景の中にある“壊かしい風景’だったり、日々の生活の中にある“愛しい場所”だったり、残しておきたい“美しい自然景観“歴史的町並み”だったり、憧れの“理想的都市景観”だったりする。それは、自分自身のそれまでの人生の中で、快・不快という価植観でふるい分けられた、心の奥底にある“微笑みの浮かぶ場所”のようにも思う。
 そこには、原風景や原体験や経険などという、かなり主観的で個人的な“思い入れ”や“思い出”が影響しているだろう。
 しかし、その主観の積み重ね、集積、集合こそが、“ここちよさ’の原点なのではないかと私は思う。  この時点で「景観とは」などと概念を持ち出す気持ちは毛頭ない。それは、学者や、その道の専門家たちに任せておけばいい。
 ただ、風景も含めた広義の景観に対して、自分の中にある“ここちよさ’を確認し、“いいなあ’と感じられるものを沢山見ることで、本物を見る力がつくと思う。なぜなら、今回集まった“私の感じたここちよい景観’の中に、原色でバカデカイ看板のある景色などがなかったことでもよくわかる。
 そして、これら“ここちよさ’ヘの主観の集積こそが、‘誰もがここちよいと感じられる景観’を客観的に見抜く力になると思う。
 この機会に、もう一度景観という角度から、まちをなかめ直してみませんか。