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ニュースレター 第12号

私の感じたここちよい景観(入江直子)
“ 95手作り景観賞”の審査結果
景観、まちのよそおいへの思い(行重礼晃)
デザインフォーラム未だ沈せずーデザインフォーラム95続報ー(水沼信)

私の感じたここちよい景観    入江直子
イチョウ並木と桜並木が交わる交差点。ここに、シャレタ空間がある。
交差点の角に位置する店舗の入口。角を90度の円で切り取ったようにセットバックした外壁にベンチをデザインしたり、ステンレスの柱の足もとには小さな池がある。
ベンチに立てかけたバイクが、モニュメントのようでカッコいい。
建物のコンクリート打ちっぱなしの外壁には、街路樹の季節の色彩が美しく映える。
人は、赤信号の交差点で立ち止り、フッと息をつくことがある。
朝、自転車に乗った高校生が紅潮させた頬を少し膨らませる。始業のベルまで、あと8分。
昼下がり、全速力で走ってきた小学生が深呼吸する。そして、小さな池の金魚の数を今日も数えなおす。
夕暮れ時、ライトアップされた空間を背に、うつむき加減のOLがため息をつく。
桜並木の「徳山港線」は、街灯・信号・変圧器などのデザインが統一され、御影石を組み込んだ歩道とともに、本当に美しい街路である。
その中央にある交差点に、駐車場ではなく、半公共的スペースを提供した、こんなにここちよい空間を見つけられたことが私は嬉しい。
(入江直子)
“ 95手作り景観賞”の審査結果 

  “ 95手作り景観賞”の審査の概要を報告させていただきます。

7月10日から9月20日まで“ 95手作り景観賞”の審査対象施設を公募しましたところ、「たてもの」部門26点、「ろじ・みち」部門6点の応募がありました。これらの応募作品をパネル化し、9月29日から10月29日にかけて、山口、小野田、岩国、徳山、萩、柳井、長門、下関の県下8つの会場で審査会を開催しました。会場内に掲示した応募作品パネルを審査員の方々に見てもらい、「たてもの」部門3点、「ろじ・みち」部門1点選んでいただきました。919名に上る市民の方々による審査の結果、200票以上獲得した「たてもの」部門4点、「ろじ・みち」部門1点を「優秀賞」としました。受賞した施設は次頁のとおりですが、若干のコメントを申し上げます。
「徳山市美術博物館」は、落ち着いたいかにも文化施設といった点が評価されたものと思われます。「新南陽市ゆめ風車」は、山の上に設置されているという不自然さはあったものの、本物のよさとなじみやすさが評価されたものと考えられます。「下関市こども発達センター」は、レンガタイルや形態からくる優しさが評価されたものと思われます。「秋穂町大海総合センター」は、形の面白さ、意外性が評価されたものと考えられます。「しろ魚の道」は、萩らしい落ち着いた景観が創出されたことが評価されたものと思われます。
さて今回は、世話人が現地を調査して推薦する施設に贈る「世話人賞」を新設しました。これは、現地を見ない審査でよいのか、グループとしての主体性はどこにあるのかといったご批判に応えて実施したものです。県下を3つのブロックに分け世話人の有志が現地見学を行い、世話人で議論した結果、「たてもの」部門3点、「ろじ・みち」部門1点を「世話人賞」としました。それぞれの施設の詳しい推薦理由は活動報告書で報告させていただきます。「サンシティ白土」は、建物全体へのきめ細かい配慮により美東町の風景にすっぽりと納まっているように思えます。「山口県立山口中央高等学校」は、周辺の山や川にも配慮され、これからの学校建築の在り方を提起したものとなっていると考えられます。「下関市こども発達センター」は、周辺の景観になじむように心地よいスケールで建っており、素朴な質感のある素材を用いて柔らかな優しい雰囲気を醸し出しています。「踏み石の道」は、学校や文化財の外構との一体的な整備など、単なる道づくりではなく街並みづくりに努めています。
「優秀賞」や「世話人賞」を受賞した作品は大きく2つのタイプに分けられるのではないかと思います。1つは、地域のイメージを大切にしながら以前から存在していたかのように感じさせる施設です。もう1つは、従来の風景にはないものを導入することによって新たな景観を創造しようとするものです。この自然と人工とが織りなすハーモニーを多くの市民の方が心地よいと感じられたようです。このような市民に心地よい安らぎと刺激を与えてくれる施設が増えることを私たちは望んでいます。

優秀作品一覧(施設名称、施主、設計者、施工者)

《優秀賞》

 「たてもの」部門(応募作品数…26点)  

    施設名称:徳山市美術博物館(徳山市)
    施主:徳山市
    設計者:(株)日建設計大阪本社
    施工者:フジタ・洋林建設・福谷産業共同企業体

    施設名称:新南陽市ゆめ風車(新南陽市)
    施主:新南陽市
    設計者:(株)竹中工務店広島一級建築士事務所
    施工者:(株)竹中工務店

    施設名称:下関市こども発達センター(下関市)
    施主:下関市
    設計者:下関市建設部建築課
    施工者:古田建設・大庭工務店共同企業体

    施設名称:秋穂町大海総合センター(秋穂町)
    施主:秋穂町
    設計者:(株)小川晋一アトリエ
    施工者:東亜建設工業・林工務店共同企業体

  「ろじ・みち」部門(応募作品数…6点)  

    施設名称:しろ魚の道(萩市)
    施主:山口県萩土木建築事務所
    設計者:富士調査設計
    施工者:協和建設工業

《世話人賞》

 「たてもの」部門(応募作品数…26点)  

    施設名称:サンシティ白土(美東町)
    施主:美東町
    設計者:(株)市浦都市開発建築コンサルタンツ
    施工者:防長建設工業(株)、(株)中原組

    施設名称:山口県立中央高等学校(山口市)
    施主:山口県
    設計者:(株)日本設計九州支社、(有)栗林設計、(有)秋本設計事務所、末次設計事務所
    施工者:山口建設・鴻城土建工業・西谷工務店共同企業体、
        技工団・磯部工業・大和建設共同企業体

    施設名称:下関市こども発達センター(下関市)
    施主:下関市
    設計者:下関市建設部建築課
    施工者:古田建設・大庭工務店共同企業体

  「ろじ・みち」部門(応募作品数…6点)  

    施設名称:踏み石の道(岩国市)
    施主:岩国市
    設計者:岩国市都市計画課
    施工者:日野組、藤川興業所
景観、まちのよそおいへの思い    行重礼晃(ワークショップスタジオゆくしげ)
 この5月から山口県に住んでいます。僕の念願の夢が一つ叶いました。
 これまで、東京で都市計画、まちづくりコンサルタントに所属していました。住民参加型のまちづくりに熱を入れていましたが、市街地再開発など、開発と名の付く仕事には、殆ど手をつけていませんでした。
 ところが、自分の大好きな地域の再開発や活性化計画となると、すごく気になり出しました。新たに手を加えて、まちのよそおいを変える訳です。ややもすると、それまであった地域資源が根こそぎ消えてしまう恐れが、再開発などの計画にはあります。よそおいを新たにする前に、どんな資源がそこにあるのかを十分吟味して、開発等を通して何が消えたり変わったりするのかを、行政を始め、市民の皆さんが理解して合意を経た上で、再開発や観光活性化等を進めてほしいなぁ、と思います。
 そんな思いを実現したく、まちのよそおい・ネットワークに参加しています。
デザインフォーラム未だ沈せず!−デザインフォーラム続報−    水沼信
 まちのよそおい・ネットワークでは昨年より(財)山口・防府地域工芸地場産業振興センター(デザインプラザHOFU)との共催により、防府市のまちづくりを考える研修事業「デザインフォーラム」を開催しています。ワークショッブという、参加者が主体的に係わりながら創造行為をする手法を用いて、防府市から借り受けたJR防府駅北の空地に「今後のまちづくりの指標になるようなものを自分達の手で創ろう」というテーマに取り組んでいます。「ニュースレター.まちのよそおい11号」において9月までの活動を紹介しましたが、今回はその後の状況を報告します。
 さて、デザインフォーラム活動資金を確保しようと意気込んで、10月にJR防府駅北で開催されたフリーマーケットに参加しましたが、終わってみれば疲れだけが残ったというのが実感でした。その後約1カ月の間、参加者はフリーマーケットの疲れを癒すために、デザインフォーラムのことを完壁に忘れていました。ところが駅北の空地で何かしたい!何かしなければ!という思いが再ぴふつふつと沸きあがり、11月から活動を再開しています。
 参加者の疲れを新たな活動の活力へと熱交換(?)するために、新たに2回のワークショップを行ないました。その結果、参加者の考えが融合・洗練した「駅北遊び場基地」計画をまとめあげることができました。
 12月5日午後、第1回目の建設工事を実行し、「駅北遊び場基地」の骨格がいよいよ姿を現します。その後、少しずつ作業を重ね、12月23日のクリスマスイヴイヴに「駅北遊び場基地」を使用した楽しいイベントの開催を企画しています。今後のデザインフォーラムの活動にご期待あれ!!
 デザインフォーラムは長いトンネルをやっと抜け出し、今、日の目を見ようとしている…。

今年も残すところわずかとなりました。来年も「まちのよそおい・ネットワーク」をどうぞよろしくおねがいします。それではよいお年をお迎えください。