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ニュースレター 第8号

私の感じたここちよい景観(山根由紀)
デザインフォーラム・リポート(東孝次)
水沼レポート…新横浜ラーメン博物館(水沼信)
明日のまちづくり戦士を育てよう(原田正彦)
“私の感じたここちよい景観”の募集結果について

私の感じたここちよい景観     山根由紀
 「こっの〜木、なんの木、気になる木…」。某大手企業のイメージソングが聞こえてきそうな、とても立派な木があった。
 木を見ると心が和む。気持ちが安らぐ。そこに何十年も立っていただろう大樹を見つけると、必ずまたその木に会いに行きたくなってしまう。一目惚れってヤツかなぁ。
 わたしは「山ヤ」と呼ぱれる人種に分類される。趣味で山河を駆けめぐっていたのだが、子育てでちょっと離れていたスキに、随分と山の様子が変わっているらしい。(同人種である配偶者の情報による。)
 そこに道をつけなきやならない、川土手を改修しなきやならない、やむにやまれぬ事情があるなら、せめて、その場の緑と共存する工夫をしてくれよ。あ、別にこの木の後ろに見えるショベル・カーに言ってるワケじやありませんので念のため。
 山に生まれて山で育ち、とうとう名前にまで山がついてしまったわたしが「ここちよい」と感じる景観は、やっぱり自然景親なのであった。(建築屋さん、ゴメンナサイ!)
デザインフォーラム・リポート    東孝次
今年度は初めての試みとして、(財)山口・防府地域工芸地場産業振興センターが中小企業の人材育成の一環として実施しているデザインフォーラムに、まちのよそおい・ネットワークがお手伝いをしています。研修のテーマは「防府天満宮〜JR防府駅」を対象地区として、「ワークショップ」手法を活用しながら、当該地区の魅力を引き出すための提案を行うということです。直接的な内容を学ぶ研修ではなく、考え方や手法を学ぶ研修となっています。
ワークショップの理論家であり実践家でもある九州芸術工科大学の藤原惠洋先生を迎えることができたことは大変ラッキーだったのですが、予定どおり進行するだろうか、果たして参加者がどのような反応を示すかなどといった不安の中、デザインフォーラムは開催されました。第1回目は6月18日で、グループ編成をどのようにすべきか頭の痛いところでした。日本人はシャイなところがあって、見ず知らずの人とグループを組むのはきついだろうと考え、知り合い同士が同じ席に着くだろうと想定して同じ机に着いた者を同一のグループにすることにしていました。
ところが、参加者からアトランダムなグループ編成にしてほしいという声があり、先生の了解も得ずに、いとも簡単に方針を変更してしまいました。ワークショップでは途中で方針変更をしてはならないと先生には叱られるは、メンバーからは話が違うはと言われるなど、さんざんでした。ともあれ、参加者が和気あいあいと議論している様子を見て一安心しました。相手の似顔絵を描きながら相手からさまざまな情報を聞き出し、相手をグループ員に紹介するという他己紹介という手法はいろいろなところで使えそうです。
次に、どんなロール(役割)で対象地区をながめるかという討論に入りました。(他人の目で対象地区をながめてみようというのです。)用意された5つのロール以外を考えようというグループ、2つを複合したロールを検討するグループなど、時間が過ぎることも忘れて議論されました。グループによって活発なところ、そうでないところとさまざまでしたが、研修会場は参加者の熱気で騒然としていました。
第2回目は7月23日に開かれました。今回は現地踏査があり、参加者は暑い中を、カメラやビデオを片手に、目を皿のようにして情報の収集に汗だくだくでした。盲人のロールを選んだグループはアイマスクをして実体験です。暑い中での現地踏査で疲れていたにもかかわらず、涼しい室内に帰ってからは、各グループ、メモを見ながら問題点などをカードにまとめて、現状の課題が整理されました。いやはやなかなか大変な研修です。でも、参加者は時間を忘れて課題に取り組んでいます。今回も大幅に時間オーバーしてしまいました。
水沼レポート「新横浜ラーメン博物館」    水沼信
 JR新横浜駅からほど近い場所に今春オープンしたユニークな博物館である。建物の外観も魅力的であるが、3階建ての建物の地下2層に再現された昭和30年代の下町のたたずまいは見事である。このまちなみは、いわゆる映画のセットの書き割り、偽物であり、「優れた景観」について紹介するこのコーナーには本来馴染まないのであるが、私のお気に入りの空聞ということであえて紹介したい。
 500Fほどの空間には、緑がまったく無い薄暗く狭い路地。無造作に貼り散らかされた統一感の無い看板。空中に張り巡らされた電線。…私たちが景観を繁雑にしている原因としていつも目のかたきにしているものがすぺてそろっている。にもかかわらず訪れる人は共通して心地よいと感じるのである。それは何故か。ひとつには壊かしい風景のなかに自分の大切な想い出を見いだして感傷的になっているのだろう。しかし、昭和30年代の下町の風景なんてメディアを通してしか見たことがない昭和50年代生まれの『子ギャル』達が多く訪れ、「通すてきー!」などとキャーキャー言っているところをみると、もっと違った理由がありそうである。さすがに彼女たちにその理由を聞く勇気はなかったが、聞けばきっとこう答えるに違いない。「だってかわいいじゃん!」
 私なりにその魅力(かわいい)の要因を考えてみた。まず、芦原芳信氏がその著書「まちなみの美学」で考察しておられる街路の幅と面する建物の高さの関係において、このまちなみがまさにヒューマンスケールであること。次に空間を構成している部分に様々な素材、色彩が使用されていて一見読一感がなさそうであるが、実はその色調(トーン)が統一されていること。このふたつが最大の要因であると考える。
 その外にも夕暮れ時を想定した照明。かすかに開こえる当時の流行歌。もちろんラーメンの香り、その味。これらが重なり合ったからこそ、この魅力的な空間はできあがったのである。自動車が主役となった現在の都市空間において、巨大な街路樹と表面をきれいに装った高層建築が並ぶまちなみにもまして、ヒューマンスケールの快適な街路がいかに大切かを改めて気づかせてくれた場所である。
明日のまちづくり戦士を育てよう   原田正彦
 最近関心を持っているのは「子供とまち環境」。5月に岐山小学校で六年生150人を相手にまち探検をテーマに講義した後、日頃自分たちのまちについてどう思っているか、アンケートをやってもらったのだが、この回答がなかなか面白い。
約7割近くの子供が「いつかまち探検をやってみたい」と答えていたし、こんなりっぱな感想も寄せられた。「…都市計画のために、その町のことをよく知っておくことが大切なのだなと感じました。
みんなが自分たちの町をよくするために協カして、よりよい町をつくっていくことが大切です。ぼくもできるかぎりのことをしたいと思います。」(6の2、男子)
 子供の目は大人以上に新鮮だ。我が町を行動圏に細かく動き回る純粋な目、それを通して町環境にアプローチするところに実はまちづくりの新しいカギがあるのではなか。そして次世代を担う子供たちの熱心なまなざしを活かすまち探検などのような試みが、将来のまちづくり戦士を作り出し、引いては生き生きしたまちづくりに大きく寄与していくに違いないとつくづく思うのである。
“私の感じたここちよい景観”の募集結果について
山口県内のまちの中の景観だけでなく、自然の風景や祭りなどの行事も含めたさまざまな景観を対象とする“私の感じたここちよい景観”を募集しましたところ、8名18ケ所の応募がありました。表題、撮影場所は下表のとおりです。応募された方へはオリジナルテレホンカードを送らせていただきました。応募作品のうち、世話人の多くが心地よいと感じる景観につきましては、今年度発行を予定している「山口県の景観(仮称)」で紹介することにしています。
なお、全く同様の内容で、1995年2月15日を締切とする第2回の“私の感じたここちよい景観”の募集を行いますので、第1回目に出されたものをご参考の上、奮ってご応募くださるようお願いします。