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ニュースレター 第6号

《一通の手紙》(高橋千砂)
93手作り景観賞の審査結果について
感想・意見 大募集!
93手作り景観賞を終えて

《一通の手紙》    高橋千砂
 前略 人へ
 地球という名の、地の上での住み心地はどうですか?
 木々も紅葉し、秋らしい季節の中で、相変らずお元気そうに歩いていらっしゃるようですね。
 地の中は外ほど寒くはありませんが、我々も冬を前にして日々忙しく働いております。
 どうやら、人々の中では心地よいと感じる建物を選んで、表彰しようという動きがあるらしいですね。他にもいろいろ噂に聞いていると、人間とはなんとおもしろい生物よ、と思うわけで。
 昔は木で造られた大きな家を見て、我らもよくお邪魔しておりましたが、最近は木で建てられなかったり、色とりどりにて、こちらも目をチカチカさせながら眺めることがあります。まあ、我々の住まいの中は特別お見せするものは何もありませんが、皆さんは用途によっていろいろなものを置いていたり、工夫されているようですね。中はともかく、我々の住まいは、他の方々に見せることもなければ見られることもないので、気を遣うことはありません。でも、あなた方は地の上に建物をつくる以上、自分たちさえよければいいというわけにもいかないでしょう。お互いに心地よいものを求めるのであれば、木や花たちのことも大事にして、色や形も考えてつくって欲しいと思います。ついでに、本当に邪魔にされそうですが、我々も訪れてみたくなるような、そんな家を、そんなまちをつくって下さい。楽しみにしております。
 とりとめもない話で最後になりますが、地の中も少々寒くなってきましたので、そちらもお風邪などひかないようお過ごし下さい。
                                       草々  蟻より
 
93手作り景観賞の審査結果について
 “ 93手作り景観賞”の審査の概要を報告させていただきます。
 9月19日から26日にかけて、徳山、萩、宇部、小郡の県内4つの会場で展覧会を兼ねた一次審査会を開催しました。場内に掲示した応募作品パネルを審査員の方々に見てもらい、建築、公園・広場の各部門3点ずつ選んでいただきました。得票数の上位から、建築部門については6点、公園・広場部門ついては5点を選出し、「優秀」を決定しました。
二次審査は、「対決!優秀作品」と銘打って、10月11日ニューメディアプラザ山口において開催しました。一次審査で好得点を獲得した優秀作品の設計者をはじめ関係者に、スライドを使って作品を説明していただいたあと、各部門1点ずつ投票を行ってもらいました。それぞれの最多得票作品1点を「最優秀」としました。
 今回は一般の方々が応募しやすいようにと応募用紙の様式を決め、わずか写真3枚に推薦理由等を記載していただくだけのものとしました。しかしながら、私たちのPR不足も手伝って、私たちが期待したほどには一般からの応募はありませんでした。一方、設計者からは自分たちの個性が応募作品に発揮できないといった声もありました。
また、審査についてもいくつかの問題がありました。多くの方々に審査していただくため、実物を見ないで写真による審査という方法をとらざるを得ません。このため、写真の質の違い、建物の建つロケーションなど、建物本来の景観上の問題以外の要素が審査に影響することが多かったようです。しかも一次審査では、3枚の写真を見ての評価であったため、昨年以上に審査しにくかったようです。また大きな公園ではわずか3枚の写真でどう景観を表現するかも難しいことでした。昨年度と同様、多くの方に審査していただくことの難しさを今更のように感じさせられました。
 私たちも手探りの中でよりよい方法を模索しながら応募方法、審査方法を決めています。また私たちの活動は優れたものを選ぶことにあるのではなく、身近な景観に関心を持っていただくことにあります。私たちの活動の趣旨をご理解いただき、不備な点については、今後可能な限り改めていくということでご了解をお願いします。
なお、二次審査では、全くの手弁当で県外からも多くの設計者等に参加いただき、熱の入った説明を聞くことができました。施設の心地よさよりも説明のうまさが審査に大きく影響するのではないかといった批判もありますが、作る側と使う側との接点になったのではないかという点で、大変有意義だったと思っています。参加者が少なかったのが悔やまれてなりません。

 さて、肝心の審査結果ですが、若干のコメントを加えて報告させてただきます。
 建築部門については、応募作品数24点で、最優秀に輝いたのは、「栗田工業・山口事業所」です。この建築は、斬新なデザインが豊かな自然の中で生きており、波をモチーフに屋外も整備されるなど、開かれた工場づくりにきめ細かい点まで配慮され、自然景観の優れた山口テクノパークのモデル的な工場として期待が持てることから、最優秀に選出されました。恵まれた条件下の作品とはいえ、付加的な要素が除外されやすい工場に十分な配慮をされた関係者の熱意に頭の下がる思いがする作品です。優秀に選ばれたのは次の5点です。伝統的建造物群保存地区での1つの典型的な回答例を示してくれた「玉生邸」、住民の自主的なコミュニティが生まれそうなまた生まれてほしい「風呂ヶ迫団地」、常盤公園を訪れる人々を温かく迎えてくれる「常盤公園・売店」、三角屋根の小学校として子供たちの心の奥深く残る「新南陽市立富田西小学校」、ヒューマンスケールで郷愁をさそう「玖珂町立コミュニティーセンター」でした。
公園・広場部門については、応募作品数23点のうち、見事、最優秀に輝いたのは、「維新百年記念公園」です。
広々とした空間に、スポーツ施設だけでなく、水辺や緑陰スペースが整備され、多くの人々に親しまれているだけでなく、水と緑というテーマでうまくまとめ私たちが気付かない場面を提供してくれた点も評価されたものと思われれます。優秀に選ばれた作品は次の4点です。野外彫刻展の伝統を誇る「野外彫刻美術館」、現代から江戸時代へのタイムトンネルたる「白壁ふれあい広場」、治水から親水性豊かな河川改修を目指す「稲川河川公園」、いくつかの新たな試みが見られる「片添ヶ浜海岸公園」でした。
 今後も、色々な方々に、ご指導、ご支援を受けながら、よりよいものを求めてまいりたいと思っています。さまざまな形でご協力くださった皆様、本当にありがとうございました。心からお礼申し上げます。  なお、この事業は今年度も「優良な建築士グループの活動」として山口県建築士会より助成を受けることになっていますので、申し添えさせていただきます。


  建築部門(応募作品数…24点)  

   最優秀(1点)…オリジナル楯、オリジナルプレート、賞状

    施設名称:栗田工業・山口事業所(山口市)
    施主:栗田工業
    設計者:清水建設一級建築士事務所
    施工者:清水建設・飛島建設共同企業体
   
   優秀(5点)…オリジナル楯、オリジナルプレート、賞状

    施設名称:玉生邸(柳井市)
    施主:玉生武夫
    設計者:林野建築設計事務所
    施工者:井森工業

    施設名称:風呂ヶ迫団地(宇部市)
    施主:宇部市
    設計者:宇部市土木建築部建築課
    施工者:新生・大栄・ムラタ共同企業体、高砂工務店、島田工務店、今田工務店、新光産業、
        早川組、英工建設
 
    施設名称:常盤公園売店(宇部市)
    施主:宇部市
    設計者:宇部市土木建築部建築課
    施工者:宇部ライト工業

    施設名称:新南陽市立富田西小学校(新南陽市)
    施主:新南陽市
    設計者:メイ建築研究所 牧敦司
    施工者:山利建設、三和建設、長崎建設、フジタ

    施設名称:玖珂町東部地区コミュニティセンター(玖珂町)
    施主:玖珂町
    設計者:村重保則+現代建築設計事務所
    施工者:石川組

?    公園・広場部門(応募作品数…23点)  

   最優秀(1点)…オリジナル楯、オリジナルプレート、賞状 
 
    施設名称:維新百年記念公園(山口市)
    施主:山口県
    設計者:東京ランドスケープ研究所他
   
   優秀(4点)…オリジナル楯、オリジナルプレート、賞状

    施設名称:野外彫刻美術館(宇部市)
    施主:宇部市
    設計者:宇部市公園緑地課

    施設名称:白壁ふれあい広場(柳井市)
    施主:柳井市
    設計者:角田建築設計事務所
    施工者:山田工務店

    施設名称:稲川河川公園(秋芳町)
    施主:山口県
    設計者:建設技術研究所
    施工者:秋山建設、宮野造園

    施設名称:片添ヶ浜海浜公園(東和町)
    施主:山口県
    設計者:山口県大島土木事務所
感想・意見 大募集!
 手作り景観賞やまちのよそおい・ネットワークの活動さらには景観全般に関する感想や意見を別添用紙等でご送付ください。1993年12月25日(土)までに事務局に送付されたものにつきましては、1993年度活動報告書「まちのよそおい」に掲載させていただきます。多くの方々の感想・意見をお待ちしてます。
93手作り景観賞を終えて
 新規世話人4人を迎え、過日、1回目の反省ミーティングを行いました。新しい人からは次のような問題点が指摘されました。
 ○生活者の視点を標榜しながら、実際の審査方法は専門家を対象としたものになって いるのではないか。
 ○会員数はそれなりにあるが、実際の参加が少ないのは興味を引く内容となっていな いからではないか。
 ○都会のセンスをそのままもってくるのではなく、山口らしい景観について考えるべ きではないか。
 ○審査基準がないと審査が難しいのではないか。
 私たちの活動の原点を振り返ることになり、大変有意義なミーティングとなりました。いくつかの問題点はあるものの、関係者を勇気付ける、作る側と使う側の接点があるなどといった評価すべき面もあり、今後も続ける必要があるという点では共通認識に立つことができました。取組体制や応募・審査方法等具体的な手法については検討すべき課題がありますが、少しでもよりよいものを求めて努力してまいりたいと思っていますので、今後とも、ご支援、ご協力を賜わりますよう、よろしくお願いします。