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ニュースレター 第4号

夜間飛行(津田伸子)
「'93手作り景観賞」 募集始まる !
会員募集について
今年度の取組について
建築景観-ワンポイント-周辺街路からの見え方に着目(中園眞人)
インフォメーション

夜間飛行    津田伸子 
 宇部空港 19:40発 東京行き最終便──空の茜色が褪せて行くのと入れ代わりに、滑走路に並んだ誘導灯のブルーが色を増して行く。飛行機は、思いっきり力を溜め込んでから勢いよく走り出した。シートに伝わる車輪の振動がふっと消えたと思うと、目の下には灯りのつき始めた家々。その一つ一つにあるそれぞれの生活をふと思う。あ、今あの家にも灯りがついた…。瀬戸内海の上空を東へ移動しながら、高度は段々上がって行く。見下す眺めはもうすっかり夜の世界だ。街の灯りが、入り組んだ海岸線をなぞるように繋がっている。まるで日本地図をそのままイルミネーションで飾りつけしたみたいだ。
 時々、光の粒が海に向かって流れ出したように扇形に輝いているのは、河口の平地に広がる都市だろう。下松…岩国…広島…あたりかな。
 それにしても、この光の帯に縁取られて、黒々と闇に沈む領域の膨大さはどうだろう。人里のない深い山々の領域。日本の国土は、こんなにも山ばかりだったのかとあらためて驚く。この国の人間達は、山と海の間にできたこんな僅かな平地に、ひしめきあって暮らしている……。そう思うと、街の灯りがなんだか健気でいじらしく、愛らしいものに見えてくる。
 目を移した膝の上の雑誌に、『環境保護』という言葉を見つけて、思わず苦笑した。保護どころじゃない。空から見渡せば、大自然はこんなに圧倒的な強さと威厳をもって、静かに人間の前に立ちはだかっている。確かに身近な自然は壊れやすいけれど、本当は、保護だとか共存だとかこちらの都合に合わせて自然を愛するんじゃなくて、人間が自然に愛される生き方を考えるべきなんだ………いや、かつてはそうだったのかも知れない………。そんなとりとめもない考えが、スチュワーデスのアナウンスで遮られた。 「飛行機は最終の着陸体制に入ります……。」
 窓の下を覗き込むと、ぐっと厚みを増したメガロポリスの夜景が迫っていた。明らかに人工と判る直線的な海岸線。工場の煙突や高層ビルの位置を知らせる赤いランプが、生きもののように点滅している。さっき感じた健気さやいじらしさは、もうここには感じられない。この街の妖しいまでの美しさは、自然に愛されようとはしなくなった人間達の、そのナルシシズムの象徴か──。
 海面をかすめるようにして、飛行機は羽田空港に降りた。シートベルトを外しながら、私の愛するふるさとは、あの健気さのまま、自然に愛される街でいて欲しいと心から思った。
「'93手作り景観賞」 募集始まる !
1993年度については、前年度の反省を受け、特に次の3点について変更しています。

(1) 応募方法
  第1回の募集要項では、設計者自身でなければ応募しにくいものとなっていました。そこで、今年度は“みんなで選ぶまちのよそおい”にふさわしいように、可能な限り応募者に負担をお掛けしないものにしたり、提出作品の様式を決めるなど、多くの方が気軽に応募できるものになるよう心掛けました。
(2) 応募対象部門
  景観を構成するのは建築だけではないといったご批判にお応えして、今年度は「公園・広場部門」を設けました。公共的な施設が多いとは思いますが、建物前庭のオープンスペースなども対象としますので、多数の参加をお待ちしています。
  なお、「住宅建築部門」については、審査しにくいということ、一般建築と区別しにくい場合もあるといったことから、今年度は、「建築部門」に含めることにしました。
(3) 審査員
  公募であることは前年度と変わっていませんが、“まちのよそおい・ネットワーク”の'93年度会員になっていただくということにしました。

会員募集について
 昨年度は初めての取組ということで、私たちの企画にさまざまな形で応援してくださる賛同者をまず募集しました。200名を超える賛同者を得た上で、「'92手作り景観賞」の作品の募集と併せて、審査員、協賛企業を公募しました。また同時に、積極的に関わりたいという人のために“まちのよそおい・ネットワーク”のメンバー(世話人)も同時に募集しています。このため、大変わかりにくい募集の仕方となってしまいました。
 そこで、本年度は、すべてを一本化し、私たちの活動にご協力してくださる方々に、年会費 2,000円を払っていただき、“まちのよそおい・ネットワーク”の会員になってもらうことにしました。そして、「手作り景観賞」の審査については会員のみに限定させていただくことにしています。また年度会員とし毎年更新をお願いすると同時に、新規会員の募集を行うことにしました。明確な整理ができていないために誤解を持たれた方もおられ、大変ご迷惑をお掛けしました。今後は上記の形で進めさせていただきたいと考えていますので、よろしくお願いします。
今年度の取組について
今年度は、次のような点を念頭に活動していきたいと考えています。

○「手作り景観賞」については、できるだけ気軽に参加できるものにする、建築以外の分野にもジャンルを拡大するといった点に心掛ける。

○「手作り景観賞」の事務局に留まらず、フィールドワークや文献学習などにより景観そのものについての調査・研究活動ができるよな体制づくりにも心掛ける。

○“まちのよそおい・ネットワーク”の仕組みを明解にするために、年度ごとの会員制とし、多くの方々に参加を呼び掛ける。
以上の点に留意しながら取り組んでまいりたいと考えています。なにかと不行き届きの点があるかとは存じますが、その都度ご叱責を賜わり、よりよいものを求めてまいりたいと思っています。
今年度もより一層のご支援、ご協力を賜わりますよう、よろしくお願いします。

建築景観−ワンポイント−周辺街路からの見え方に着目    中園眞人
 建築はいろいろな距離や角度から眺められますが、街路からの景観に視点を絞ると、街路の平面的な形状との関係が重要な要素となります。特に街路の屈曲部や交差点の街角、T字路正面などにある建物は、通りからの桃めを受けるアイストップとなる場合が多く、町並みの連続性やアクセントをつくり出す上で、建築のデザインが重要になります。
 これらの地点は人の流れの結節点やたまりにもなりやすく、デザインだけでなく敷地の利用の仕方全般に充分な配慮が必要です。また街路だけでなく、川の流れに沿って見通すことのできる眺めも都市イメージを特徴付ける魅力的な景観です。水際景観の魅力的要素となる建築のデザインが求められています。
 写真はアイストップとして重要な位置に個性的な形の棟を配置し、通りとしての個性を高めている例(福岡県庁議会棟)です。
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スケジュール
 6月10日 「'93手作り景観賞」募集の開始(作品、会員)
      ニュースレター「まちのよそおい」第4号発行
   19日 “まちのよそおい講座 part3”(14:00 〜 16:30)
       会場:山口芸術短期大学 視聴覚室
       内容:「ヨーロッパの都市景観」
            まちのよそおい・ネットワーク  中園眞人
          「'92手作り景観賞を受賞して」
           (ゲスト)    緑橋教会    陣内厚生氏
       受講料:無料(どなたでも自由に参加できます。)
 8月31日 「'93手作り景観賞」応募作品締切り
        (会員は二次審査日まで募集しています。)
 9月中旬 ニュースレター「まちのよそおい」第5号発行 
   中旬〜下旬
      「'93手作り景観賞」一次審査会の開催
       山口会場:山口芸術短期大学・展示ホール【9月21日(火) 〜 26日(日)】
       徳山会場:ピピ510・ロビーホール【9月19日(日)】
               山口、徳山会場以外にも宇部、萩でも開催を検討しています。
   25日 “まちのよそおい講座 part4”(14:00 〜 16:30)
       会場:山口芸術短期大学 視聴覚室
       内容:未定
 10月11日 「'93手作り景観賞」二次審査会&交流会の開催
        会場:ニューメディアプラザ山口
   下旬 ニュースレター「まちのよそおい」第6号発行 
 2月下旬 報告書「まちのよそおい」NO2の刊行