トップページ>>ニュースレター>>3
ニュースレター

ニュースレター 第3号

SINJUKU(入江直子)
第1回手作り景観賞(建築部門)の審査結果について
感想・意見・大募集!
編集後記

SINJUKU    入江直子
 25Fレストランからの眺めはさすがに壮親で、都会の夜の洗練された美しさを十分演出してくれた。
 左手に都庁、右手にNSビルその向こうに京王プラザホテル、その中心を都庁通りと呼ばれる11号線が走っている。昼間の交通量とは全く違い、今は均等な車間距離のテールランブが、心地好いリズムで南北に流れる。それを横切る様に本館と議会を結ぶ回廊の灯りが輝いて空を走る。都庁には、どのフロアーにも灯りが灯り、巨大な光のモニュメントのように空に向かっている。
 省エネ時代に何というもったいないことよ…と言ってしまえばそれまでなのだが、この場所で、この時問に、このすべての窓から灯りが消されてしまえば、それこそ巨大な怪物の冬眠の様だろう。
 この巨大な怪物の設計者達は、ここから見た夜景を想定したのだろうか。
 「建ったときには、なんて邪魔なものがと思ったけど、こうして見ると綺麗だなあ。マンハッタンの夜景みたいな感じだな。」隣のテーブルの声に、少々大げさかな…と苦笑した私だが、昼間とは違った印象で、未来都市を彷彿させるこの都市の横顔が見える。
 まちには、そこに似合った服装があり、メークがある。この都市には、私のまちにある萩焼色の庁舎は似合わないし、私のまちには、この巨大な怪物は昼も夜も異物にしか写らないだろう。
 私は新宿という都市が好きだ。縁をたたえた新宿御苑の北には、新宿三丁目・ゴールデン街・歌舞伎町といった昼から夜へと息を吹き返す街があり、線路を挟んだ西にば、高層ビルとシティーホテルの洗練された街がある。様々な地方から来た人々の喜怒哀楽を上手に並ぺかえて、それなりの顔で表しているように感じるから。
 そして新たに生まれたこの巨大な怪物のお陰で、この都市の一片の高層ビル街も昼間と別の顔で、今まさに輝いている。
第1回手作り景観賞(建築部門)の審査結果について
1992年11月8日、山口県視聴覚センターにおいて、第1回手作り景観賞の審査会を行いました。その概要を報告させていただきます。
第一次審査では、会場に展示した応募作品パネルを審査員の方々に見てもらい、一般建築、住宅建築の各部門3点ずつ選んでいただきました。得票数の上位から、一般建築については5点、住宅建築ついては3点を選出し、一次審査通過作品としました。
第二次審査では、第一次審査を通過した作品の応募者の方々に、スライドを使って作品を説明していただいたあと、各部門1点ずつ投票を行ってもらいました。そして、それぞれの最多得票作品1点を「最優秀」とし、残りの一次審査通過作品を「優秀」としました。
審査結果について少しコメントさせてただきます。
規模が比較的小さく、いかにも手作りといったイメージの作品に票が集中したようです。一般建築部門では、建物のジャンルがさまざまでしたので、大変選びにくかったようです。それに加え、写真の質の違い、パネルの表現方法、建物の建つロケーションなど、建物本来の景観上の問題以外の要素が審査に影響したようです。全く同じ条件下で審査することの難しさをひしひしと感じさせられました。
一方、住宅建築部門では、一般建築部門以上に難しい審査になったようです。住宅建築での景観の扱いの難しさを示しているようです。
一般建築部門については、応募作品数27点で、最優秀に輝いたのは、「新南陽市立和田小学校」です。この建築は、山間の小学校らしいデザインを使ったり、子供に焦点を当てた計画、地域性の重視など設計に当たってきめ細かい配慮が行われており、ロケーションのよさも手伝って、最優秀に選出されました。
恵まれた条件下の作品とはいえ、関係者のいいものをつくりたいという熱意の伺える作品です。優秀に選ばれたのは次の4点です。新南陽市における新しい文化発信基地たらんとした「新南陽市ふれあいセンター」、従前の風景になじんだ古い教会のイメージを大切にしながら新たななじむ風景を創造した「宇部緑橋教会」、大規模な建築にありがちな圧迫感を避ける工夫のされた「錦グリーンパレス」、ふるさとの地で頑張るぞといった意気込みの感じられる「柱野のアトリエ」でした。
住宅建築部門については、応募作品数11点のうち、見事、最優秀に輝いたのは、「原田邸」です。行き止まり道路の奥の敷地であり、しかも両サイドに比較的大きな住宅があるといった景観にとっては厳しい条件の中で、設計者は長屋門での解決を提案しました。行き止まり道路に見通しをきかすといった手法が成功した作品と言えます。限られた条件の中で、設計者等の景観に対する思いを実現したいといった意欲が伺える作品といえます。優秀に選ばれた作品は次の2点です。間口が狭いといった限られた条件下で、伝統的な街並みになじなせる努力が行われた「内田邸+中谷邸」、色合いや素材に配慮することにより、個人的な住宅を周囲の環境になじませようとの努力が伺える「門出邸」でした。
一次審査では、写真等でプレゼンテーションしたパネルを見ての評価であったため、審査しにくかったようです。二次審査では、応募者の熱の入った説明を聞くことができ、有意義なものになったと思っています。今回は私たちの力不足から、私たちの見込みより審査員も少なく、手応えの不十分なものとなってしまいました。しかし、建築の公共性についても議論していくことの大切さを思い直すのに、一石を投じ得たのではないかと感じています。
今後も、色々な方々に、ご指導、ご支援を受けながら、よりよいものを求めてまいりたいと思っています。さまざまな形でご協力くださった皆様、大変お世話になりました。心からお礼申し上げます。
なお、この事業は、「優良な建築士グループの活動」として士会より助成を受けることになっております。
なお、120名の審査員による厳正な審査の結果、「最優秀」、「優秀」を受賞され作品の建物名称、建築主、設計者、施工者の方々は次のとおりです。

一般建築部門(応募作品数…27点)

   最優秀(1点)…賞状、オリジナル楯、プレート
    建物名称:新南陽市立和田小学校
    建築主:新南陽市役所
    設計者:メイ建築研究所
    施工者:片山建設・フジタ共同企業体
     
   優秀(4点)…賞状、楯
    建物名称:新南陽市ふれあいセンター
    建築主:新南陽市役所
    設計者:メイ建築研究所
    施工者:戸田建設・三和建設共同企業体

    建物名称:宇部緑橋教会
    建築主:日本基督教団宇部緑橋教会
    設計者:一粒社ヴォーリズ建築事務所
    施工者:大乃木建設
 
    建物名称:錦グリーンパレス
    建築主:労働福祉事業団
    設計者:象設計集団
    施工者:松村組広島支店

    建物名称:柱野のアトリエ
    建築主:村重保則
    設計者:村重保則+現代建築設計事務所
    施工者:松屋産業

  住宅建築部門(応募作品数…11点)

   最優秀(1点)…賞状、オリジナル楯、プレート
    建物名称:原田邸
    建築主:原田秀行
    設計者:巽設計事務所
    施工者:筒井建設

   優秀(2点)…賞状、楯
    建物名称:内田邸+中谷邸
    建築主:内田三典+中谷正
    設計者:双樹設計
    施工者:徳田建設+山口建設
    建物名称:門出邸
    建築主:門出健次
    設計者:積水ハウス徳山営業所
    施工者:積水ハウス徳山営業所
感想・意見・大募集!
「まちのよそおい」についてさまざまな角度から検討するために、今回の取組に関する感想や意見等を下記により募集することにしました。
多くの方々のご参加をお待ちしています。

○テーマ  今回の取組に関わることや景観に係わることであれば、どんな内容でも結構です。
○字数   何字でも構いませんが、目安は400字程度です。
○様式   自由です。
○特典   今回の取組をまとめた報告書「まちのよそおい」に掲載させていただきます。
○締切   1992年12月22日(火)消印有効です。
○送付方法 原稿を郵送されても、FAXされても構いません。
○送付先  〒754 山口県吉敷郡小郡町上郷丸山1275
             山口芸術短期大学・福田研究室内
                 まちのよそおい・ネットワーク
      TEL:08397−2−2880 FAX:08397−2−4145
○お願い  匿名でも結構ですが、できるだけ所属と氏名の公表をお願いします。(匿名の場合は、その旨明記をお願いします。)
編集後記
 11月8日に開催した審査結果を掲載しています。皆様、この結果をどのようにご覧 になったでしょうか。世話人一同、無事に審査会を終えることができ、ほっと胸をな で下ろすと同時に、責任の重大さをひしひしと感じています。
 さまざまな形でご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。
 次回も心を新たに「まちのよそおい」に色々な方法でアプローチしていきたいと思っています。ご支援、ご協力を賜わりますよう、よろしくお願いします。